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己のゲーム遍歴 あるいは 感情のパンくず

お米はパワー!「天穂のサクナヒメ」レビュー

皆さんお米食べてますか?

私は押し麦と混ぜて麦飯とかが好きです。

納豆とかあるとなおいいですね!

 

本日のレビューは、やってると妙にご飯が食べたくなる「天穂のサクナヒメ」です。

大した違いはないと思いますが、私はSteam版でプレイしています。

 

 

 

評価

昔から結論から言えってよく言われますね?

話題に上りましたし、多分これを見る人は面白いかどうか気になって見に来ていると思うので、結論から入ります。

面白いです。少なくとも値段分以上は楽しめました。

 

成分表はこんな感じ。

ストーリー:★★★☆☆

バトル(アクション):★★★★☆

システム:★★★☆☆

 

こっから先のレビューはネタバレに配慮してません(発売から大分経ったしええやろ)

ご注意を。

 

 どんなゲーム?

「天穂のサクナヒメ」は、

稲作シミュレーション2Dアクションバトルという異色ジャンルです。

類似作としてはルーンファクトリーとかが挙がるのでしょうが別物です。

あちらはどちらかというと、農業シミュレーションにアクションがおまけについている感じですが、

サクナヒメはというと、稲作とアクションが半々くらいのイメージ。

 

私はアクション(というかバトル)に比重を置くタイプなので、

ルーンファクトリーは30分でぶん投げましたが、サクナヒメは最後まで楽しめました。

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お米はパワー!

稲作とアクションが半々だと述べましたが、本作ではこれらが両輪になっています。

何故なら、主人公サクナヒメが豊穣神で、いいお米ができるほどパワーが増していく脳筋系武神だからです。

  1. 稲作でお米を作ってパワーアップ
  2. パワーアップした武力でアクション攻略

というのが本作の黄金パターン。少し世知辛いこともありますが、それは後述。

 

稲作についてですが、ぶっちゃけ面倒くさい要素です。

農林水産省のWebページが役に立つと言われるくらい本格的だったり。

ガチ農家の方がプレイするといい感じにできあがったり。

要するに現実の再現にかなり寄っているので、現実の農業が無茶苦茶大変ということはそれをゲームにしてもやっぱり大変なのです。

しかも最初は鋤とか鎌くらいしか農具がないので効率も悪い。

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初期状態の籾摺りは一際きつい

でも、面倒くさくてよかったのです。

 本作は「稲作は大変だよ」ということを前面に押し出したバラエティだからです。

「作業大変じゃ...」=>「こんな道具があったら便利だよね!」=>「作ったらぁ!」という天丼が、稲作の歴史を追体験するかの如く襲い掛かってきます。

上手く米が作れなかったというみじめな思いや、今年も面倒な作業を繰り返すのかというヘタレっぷりを体験しているだけにありがたさも一入。

 牛くんがやってきて田起こしと種籾選別が日が暮れる前に終わるようになった時はおでれーた。

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千歯こき。ここまでも長かった

 

立体起動(2次元)

本作のアクションは、簡単に言えば羽衣を使った2次元立体起動です。

ニュースーパーフックガールってフリーゲームをご存じでしょうか?あるいは海原川背とか。

あの系統のワイヤーアクションです。

ふんわりと相手の周りを旋回して、直上からズドン!。

進撃の巨人みたいなアレが実現できます。

 

そして特徴的なのは衝突。

このゲーム、画面を埋め尽くすほどの雑魚敵がわんさか湧いてきます。

実はこれボーナス状態です。

敵をぶっ飛ばすと敵にぶつかってさらにダメージを、という具合にぷよぷよばりに連鎖する衝突ダメージの存在により、

まさに雑魚はいるだけで足手まといと言わんばかりに、雑魚を効率よくぶっ飛ばして強モブを屠るのが醍醐味です。

まあ、その分雑魚が少なくなる天返宮(注:やりこみダンジョン)の深部が辛くなるのですが...。

それに加えて、通常攻撃+各4種類の武技・羽衣技で敵を蹴散らしていくわけです。

操作性は良好。

飛んだり跳ねたりで思う存分蹴散らす爽快感を味わえます。

 

で、ストーリーは?

インディーズゲームだとストーリーが中途半端だったりすることがよくありますが、本作は程よくテンポよく、程よくまとまっています。

登場人物の成長物語を主軸にして、神話昔話的な塞翁が馬のノリで小気味よくまとまっています。

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デフォルメキャラも表情や仕草が可愛い

何より、こちらの談話にあるように、お米をキーワードにしたのはまさに天啓だったと思います。

お米ほど日本人に響く背景設定はそうはないでしょう。

アメリカ人に対する肉とかが類例として思い浮かびますが、育てた牛を屠殺するのはゲーマーみたいなライト層にはきつ過ぎる気がする。

ところで、当たり前のように実り豊かになるほど強くなるサクナヒメですが、海外の神話の豊穣神も同じ感覚なのでしょうか。それとも日本固有の価値観?

 

そこまで世知辛くしなくても

ここまで背景設定とゲーム性がマッチしていていいね!という話をしてきましたが、少し引っかかった点が。

それは、お米は作れるけど割と食べる余裕がないということ。

最初のうちは単純に収穫量が足りなくて。

次は麹とかお酒とかの調味料を作るのに必要になって。

終いには取引の通貨になってしまう。

私のヒノエ島ではエンディングを迎えるまでお米は非常食扱いでした。

いや、お米ができた時点でステータス成長するし、物々交換で対価を得ているしで損しているわけではないのですが、

お米はパワーって聞くと、何となく食べてなんぼって気がしませんか?

昔の百姓は、お米は献上用で自分ではあまり食べられなかったという話も聞きますが、そんなリアルは見たくなかったんじゃ。

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かなりレートがえぐいものも

 

もう一声というところ

移動キーの方向指定+ボタンによる技の使い分けは、操作誤爆の元にしかならないので、ある程度忙しいアクションには相性が悪いと感じた。

結構シームレスに動き続けるアクションなので、方向キーはずっと倒しておきたいのです。

 

稲作に失敗してもペナルティがない。というか適当にプレイしても累積して評価は上がるので稲作に本気にならなくても何とかなってしまう。

虫とか病気とかぶっちゃけ終盤になるまで気づかなかったし、それでも何とかなってしまった。

これ以上敷居上げてもどうなの?というところではありますが、どーにでもなると分かってしまうとサボりたくなるのが人の性。

 

細かいシステム回りの導線が、プレイヤーのやりたいタイミングにつながっていないことがそこそこある。

例えば採集派遣はワールドマップから行いますが、一日の早いうちに派遣する必要がある。

で、稲作のために田起こしとかするとあっという間に日が暮れる。

そして稲作関係のほとんどはワールドマップに出ずに行われる。

ゲーム内効率を求めるユーザからすると、わざわざワールドマップに出るのは面倒。

 

他のレビューでも言われているけど、武技と羽衣技でMP共用なので基本武技一辺倒になりがち。

そして武技は敵によって結構使い分けたいのでもっと枠が欲しい。

スキルセットみたいな感じでサクッと切り替えられるとよかったかも。

ScarletNexusのSASセット切り替えみたいなのだと嬉しかった。