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己のゲーム遍歴 あるいは 感情のパンくず

固くなることがすべて。「Mortal Shell」レビュー

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ストレスなく3Dゲームできるっていいね!

PC新調して初の3Dゲームでテンション上がっているsitaranaです。

 

ソウルライクといえば、最早メジャージャンルといって差し支えないほど多くのゲームが誕生しました。

有名どころだけでも、2Dアクションにアレンジした「Salt and Sanctuary」、ハクスラを取り入れた「仁王」シリーズなどなど枚挙に暇がありません。

「Mortal Shell」もそんなソウルライクの1つ。

レッドオーシャンに飛び込んできた「Mortal Shell」をレビューします。

 

プレイ環境はSteam。1週目クリア時点。

DLCは武器とキャラだけ回収して追加ダンジョンは攻略していません。

プレイ時間は16時間程度。

 

 

評価

佳作です。

ちゃんと戦闘バランスは取れているんだけど、それ以外が粗い。粗すぎる。

決して面白くないというわけではない。

このゲーム最大の特徴である「硬化」に振り切ってないのが、ゲームコンセプトとしてひらすらに惜しい。

 

いつもの成分表はこんな感じ。

ストーリー:★☆☆☆☆

バトル(アクション):★★★★☆

システム:★★☆☆☆

 

どんなゲーム?

ソウルライクというゲームは数々ありますが、作風としてはDarkSouls1に近い雰囲気です。

ストーリーは分かんないけど、ダンジョン攻めていって、ボスを倒して、拠点でアップグレードして、そしてまた次へ。

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火守女もいるよ

基本この繰り返しで何とかなるスタイルです。

注意点としては、アップグレードに関する自由度は低めです。

Shell(今作のジョブみたいなもの)と武器の選択くらいしかないので、

俺は旅の重装騎士!みたいなロールプレイには向きません。

 

雰囲気がDarkSoulsに近い一方、戦闘システムのバランスは大分異なります。

ステップ回避の無敵時間が長く、パリィがある。

攻撃を継続することで「決意」というゲージが溜まっていき(パリィでも溜まる)、

HP吸収型のパリィ反撃や武器依存の特殊攻撃を使っていける。

そして盾がない代わりに、後述する「硬化」が追加されている。

この「硬化」こそが、このゲーム最大の特徴です。

 

後の先も先の後も自由自在

本作の最大の特徴は何を置いても「硬化」でしょう。

端的に言えば、使い勝手のいいアルトロン*1です。

もう少し詳しくいうと、1回分の無敵防御が発動して行動が発動時点で即時停止する、というもの。

プレイヤーの操作、または敵の攻撃を受けると自動で解除されます。

これだけ言うと「盾防御の代わり?」となるのですが、ポイントはいつでもノーモーションで出せるということ。

攻撃中とか回避中に、「あ、やばい」と思ったときに発動するセーフティーとして、そして攻めながら最小限の動作で敵の攻撃をいなすギミックとして機能するのです。

また、行動を即時停止するという面が独特で、

何ができるのかというと、攻撃を始めてから硬化することで相手の攻撃に対する疑似的なカウンターになったりするのです。

アクションとRPGで何が違う、というと意見は色々あると思いますが時間の流れ方が異なるというのは大きな差異です。

「硬化」はこの時間の流れ方を変化させるギミックとして強力かつ類を見ないものといえるでしょう。

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ただ、独自システムだけに課題は多いように感じました。

どうしても便利なので「硬化」を一度使ったら離れて、クールダウン解除を待ってしまうパターン化とか、

そもそも頻繁に使うにはクールダウンが長めなので、サブシステム止まりっぽい感じがするところとか。

DarkSouls系のシステムを昇華したものとしては、フロム自身がパリィをシステムの根幹まで高めたSEKIROがあるわけですが、本作はそこまで踏み込んではいません。

あくまで、DarkSoulsの戦闘に+αされたものという感触に近いので、ぶっちゃけ無くても何とかなってしまうのではないかと思います。

もっと「硬化」を相手の行動に合わせて頻繁に振っていくような、「硬化」をうまく使わないと攻略できないレベルでどっぷり設計された戦闘システムを見てみたい。

 

良いところと悪いところの天秤

ここまで良いところとして「硬化」を挙げてきましたが、ゲーム全体で見ると評価を高くできない、というか減点対象が多い印象です。

戦闘バランスは悪くないし加点対象もそれなりにあるけど、軽いジャブを連打されているように不満が蓄積していく感じ。

  • 翻訳の質が低いことも相まってストーリーがほとんど難解&意味不明
  • ゲーム進行の導線が弱い。火守女役のNPCくらい必ず通る場所に配置してもよかったのでは
  • 体力とかスタミナの簡易ステータスは画面上側の方がいい。ロックオンすると敵は大体画面上部にいるので、下側に配置されると目線の移動量が大きい
  • メニュー画面の設計は割とひどい。上下左右がループしてないとか、大項目切り替えると2~3秒画面エフェクト発生して操作受け付けないとか
  • 無限スタミナ+隙が少ないボスが一部いる。硬化は連続攻撃には弱いのも相まって、うーんとなる。難易度の調整方法としては失敗なのでは

 

感想

やってみてよかった、というのが正直なところ。

ソウルライクを色々やっている人にこそ「硬化」が目新しく映ると思うので、まんねりしている人にこそお勧め。

反面、ゲーム単品としては誰にでもお勧めできるものではない。

全体的にとっつきづらいのは間違いない。

 

もし、「硬化」を主軸に戦闘バランスをブラッシュアップした新作でたら絶対買います。

*1:ドラゴンクエストに登場する魔法。無敵になる代わりに一切行動できなくなる