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己のゲーム遍歴 あるいは 感情のパンくず

只人は音速ハリネズミの夢を見るか「SONIC FRONTIERS」レビュー

初めましての人は初めまして、またの人はこんにちは。

sitaranaです。

今回は、ソニックシリーズ最新作「SONIC FRONTIERS」のレビューです。

 

さて、いつもはあんまりネタバレを入れない方針で書いているのですが、

本作についてはどうしても突っ込みたいところがあるので

ネタバレ要素があります

ご容赦ください。

 

Steam版、v1.10、難易度スリル。

プレイ時間はメインストーリークリアまでで33時間弱です。

よろしくお願いします。

 

ジャンル

俗に言ってしまえばプラットフォーマーというものに該当します。

何らかのステージがあって、ジャンプなどのアクションを駆使して障害を乗り越えゴールを目指す。

この繰り返しで成り立つゲームです。

マリオも同じジャンルですね。

 

では、数あるプラットフォーマーの中でソニックの特徴はと言えば、

超高速でステージを走り抜けること

これに尽きると思います。

 

いつものソニック

今作、オープンワールド型のマップを採用したよ!

という触れ込みですが、ちゃんといつものタイムアタックするコースも設置されています。

というか、最初に触れるコンテンツはソレ。

スプリングでバインバインしたり、加速タイルを踏んでグルグルしながら駆け抜けたり、ホーミングアタックでエネミーをアタックしながら踏破したり。

こう、レースゲームと同じで、どこでアクセル踏むのか、ジャンプするのか、少しでもムダをそぎ落として素早くクリアする、この感覚は他のプラットフォーマーではなかなか味わえないものです。

 

いつもじゃないソニック その1

今作では新要素があります。(といってもソニアド2からの復帰勢なので、知らないだけかもしれない)

その1つがオープンワールド型のマップを採用していることです。

オープンワールドという言葉が先行しましたが、実態としてはSplatoonのヒーローモード、あるいは3Dマリオのステージ間をつないでいるマップみたいな位置づけです。

ある程度広いマップがあって、そこら中にアイテムやタイムアタックするコースへの入り口が設置されている形式です。

謎解き要素も設置されていて、ギミックをクリアするとショートカットやランドマークが解放されるあたりは、オープンワールドの様式を押さえているところ。

 

と、ここまでは普通のオープンワールドですが、そこはソニック

普通だったら馬だのジェットパックだの高速移動手段が用意されているところ、

ソニックは身一つで走り切ります

誇張でもなんでもなく、ただ突っ走るだけでマップの端から端まできっちり走り抜けられる、そして大方の予想通りソニックが速すぎるので、

割とあっさり端から端まで到達できてしまう

んじゃ、楽しくないか、というとそうではなく、

コースという制限を外して縦横無尽に走り回れる

ということなのです。

 

草原を突っ切り、山の峰を駆け抜け、レールで加速し、沼をジャンプで飛び越える。

そう、あのコースでの爆走っぷりを制限なく自分の手で操作できること。

この駆け抜けたという実感は他のオープンワールドでは味わえない本作独特の部分だと思います。

 

反面、オープンワールドという目線で見ると、中途半端なところがあります。

例えば、途中でアクションや装備が強化されて行動範囲が広がる、というカタルシスはありませんし、

マップに配置されているアイテムも一品ものみたいなのはなく、特別な何かを探す、という性質は薄いです。

このあたりが「オープンワールド型」と呼称している所以かな、と思います。

 

いつもじゃないソニック その2

2つ目は、バトル要素が拡充されていることです。

殴る蹴るもできるし、なんか遠距離攻撃できるし、パリィもできるようになっている。

ただ、アクションが増えたというよりエネミーを倒すということが1つのコンテンツに昇華された、というのが正解だと感じます。

というのも、基本的にエネミーごとに戦闘ギミックが決まっていて、倒し方はそのギミックに沿う必要があります。

アクションありきで、好きな倒し方でどうぞ。ではなく、倒し方が決まっているということ。

ただ、これがかなりのバリエーション数なので、マイナスではありません。

むしろよくこんだけ用意したなと、驚くくらいマイナーチェンジやコンパチが少ないです。

演出も登場時のカットインから段階的なBGMの切り替えまでこだわっていて、とってもグー。

 

個人的には、SquidFortressがお気に入りです。

速さで追いかけて追い詰めるってシチュがたまらない。

 

立つ鳥後を濁す

ソニックシリーズの復活作として、今後に期待してしまう本作ですが、個人的に何を置いても文句をつけたい部分がありまして、それは

ラスボス戦がシューティングゲームということです。

ミニゲームとか差し込むのはプラットフォーマーのお約束ですが、

何でラストに根本のゲーム性と全く関係ないところ攻めてくるの?と疑問符が上るばかりです。

最後って総まとめじゃないですか。

だから、これまでの神兵とか守護神とか、そういったギミックをアレンジしたりつなげたりしてオオトリでラスボスがドバーン、とかあるじゃないですか。

そういうのがないの。

確かに途中からシューティングのミニゲーム多いなー、とか思ってたけど、それを前振りにしたから許されるとか、そういう話ではない。

 

ゲームのラストというのは、特にアクションやRPGなどのユーザに対してレベルデザインするゲームにおいては、その成長を発散させてくれる集大成を用意すべき、と信じています。

そこをこのような形で展開されてしまうと、消化不良感がとんでもないです。

 

その他、細かいところの調整が雑だなという点は他にもあって、

  • ココのスピード、リング所持数強化を一括で選択できない
  • 釣りがムダに何種類もあり、ここでしかアンロックできない要素がある
    • 加えて、強化を効率的に行うなら、マップを探索するより釣りをする方が効率がいい
  • リングMax時のムービーがムダに長い。少し攻撃受けて減った分を補充しただけで毎回挟まるので邪魔
  • スキルが少なすぎる。全スキル取得してもクリアまでに100ポイント以上余ったぞ

など、中途半端にコンテンツを増やそうとして蛇足になってしまっているのではないかと感じられます。

特に釣り。君、4回も5回も出てきて実績解除に関わっていいほど楽しくないよ。

 

まとめ

良作よりの佳作、です。

正直、ラストさえ好みならもっと推しても良かった。

最後の印象って無茶苦茶大事ですね。

 

それはそれとして、本作が色々中途半端に感じるのも今後の展開のための実験、と考えると期待できるところです。

例えば、水中はナックルズが操作できるようになったり、空はテイルズが仲間になって飛行機で飛べるようになったり。

今までステージでのチェンジだった部分をオープンワールドに展開されるだけでも楽しそう。

 

また、オープンワールドという舞台にきっちりマッチさせた作りではないところも、今後どのように昇華していくのか期待したいところです。

ソニックでは基本的にタイムアタックというのが基本コンテンツ的なところがあって、これは無駄を排除していく方向の遊びです。

対して、オープンワールドはある意味で無駄を遊びにする方向性で逆を向いているように感じます。

ソニックにはタイムアタック以外にも、キメキメのアクションを楽しむデビルメイクライ的な要素もあると思うので、そのあたりとか如何か。