NoOneLivesForever

己のゲーム遍歴 あるいは 感情のパンくず

コエテクは狩りゲーの夢を見た「WILD HEARTS」レビュー

ハロー、お久しぶり!

sitaranaです。

最近お仕事忙しくてねぇ・・・、なんて言ってる場合じゃない。

3DSのラストセールだってやってるんだぞ、オラぁン。

ということで、2022年まとめで挙げたタイトルをようやっと一つプレイしました。

WILD HEARTS! チームωフォース信じてたぞ!討鬼伝好きだったしね!

いつもはまとめで言いますが、本作は先出し。いい出来ですよ。

 

プラットフォームはSteam。一応エンドコンテンツは1回ずつぶっ倒して、プレイ時間は約116時間。メインウエポンは傘。

なお、プレイ時間が3桁いってるのは、サブクエ全部消化してたからです。メインストーリーだけ追うんなら半分かからないんじゃないかなぁ。

 

それはさておき。いってみましょう。



 

問う。狩りゲーとはなんぞや

はい。いつものジャンル談義です。

WILD HEARTSはどこから切ってもモンハンフォロワー、つまり狩りゲーです。

では狩りゲーとはどのようなジャンルでしょうか。

他ジャンルを引き合いに出すならば、アクション & ボスラッシュ & ハクスラ、となるのではないでしょうか。

ジャンル黎明期の頃にはハクスラ要素がなかったように思いますが、シリーズが伸長するにあたって増えましたね。

 

さて、本作もそれら基本要素は押さえています。

では、何が新しいのか?

本作ではこれにDeathStranding的な、つまりマイルドなFactrio要素をぶちこんでいるのが新しい。

アクションの軸が違うとか別の観点も勿論ありますが、個人的にはこれが最も大きいと思います。

↑狩りの効率が悪い?自分で効率化するんだよ!

 

狩りゲーというのは、モンハンが金字塔すぎて、モンハンのシステム的な不満点をカバーすることが大前提みたいなところがあります。

受けが悪いシステムの代表格としてはモンスター(本作では獣)が、ある程度ダメージを与えると逃げる、というところが挙げられるでしょう。

モンハンでは、モンスター=野生生物なので、死にたくない動物は逃げる、という世界観から逃げるわけですが、端的に言ってめんどい。

 

モンハンフォロワーはこれに素早く追いつくアクションを追加したり(GodEater系列)、そもそも逃げるのを廃止したり(討鬼伝系列)したわけですが、

本作はそのまま逃がす代わりに、追いかけることを効率化することを遊びにしてしまった

↑逃げる獣に先回りしてやれ

 

サンドボックスゲームの弱点と言えば、往々にして「目的が定まらない」「目的を達成することの意味が実感できない」という、年始の抱負的な面が大いに関係しています。

人間誰だって意味を実感できないことは続かないもの。

本作のサンドボックスは、整えれば整えるほど狩りが楽になるのを実感できる。狩るまでの時間が短くなるのを実感できる、という面でフィードバックも完璧です。

そう、本作は「目的のある効率化」をゲームとして組み込んだのです!

 

そもそも狩りゲーは装備を作るために何度もリプレイすることが前提の作りなので、これまた相性がいい。

同じシチュエーションでより効率的な行動を取るためにはどうすればいいか・・・

その実践とさらにその先の効率化のループを回すためには、むしろ同じシチュエーションが好ましい。

なんならステージが変わり映えしないことすらメリットになりうる。

 

どうせ繰り返すゲーム性なら、その過程も遊びにしてしまえ、というのはまさにコロンブスの卵としかいいようがありません。

 

理不尽には理不尽で抗うのが人間だ

本作の噂を見ると、割と難易度が高い、という評が多いと思われます。

うん。実際難易度は高めだと思う。

モーションは速めだし、範囲攻撃とか普通にぶっぱしてくるし、なんなら追尾性能が頭おかしい攻撃もちらほら。

ちゃんとフレーム回避しないといけない作りですね。

 

ただ、難易度を高くしても、ちゃんとストレスを少なくする仕組みも同時に盛り込まれています。

例えば回復アイテムはほぼ全自動補充だし、アイルー的なお供もデフォでついてきてタゲ取りとかもしてくれる。

ファストトラベルは使い放題だし、精々失敗して消費するのは料理の材料くらい。それだって狩りをしながら拾えるレベル。

 

加えて、今作のアクションの目玉であるカラクリもほぼ全自動で補充されます。

これ、なにかというとモンハンでいうところの罠相当です。

(実際は、もっと多くの用途に使うんですが)

これがかなり強力で、特殊行動に対するギミックや強制的にダウンを取るという、これ消耗品じゃなくていいんですか?と思わず言いたくなるほどの便利さ。

これがあるから、獣も強くデザインされているんだ、と納得できる強力さです。

 

つまり、敵を強くするんだから自キャラも強くしてしまえ、という高難易度化の路線に加えて、

それはそれとして難しい以上死にやすいんだからリトライしやすくしとくね、というのがちゃんとデザインされている。

つまり死にゲーの類です。

同時に、討鬼伝見られた部位破壊での怯みやカラクリを使った拘束など、きっちり獣を「ハメる」快感も残っている。

メインストーリーで出てくるくらいの獣なら、火力が出てればひたすら怯みをとって潰しきることもできる。このバランスは見事。

 

この部分についてモンハンと対比してみると、WILD HEARTSはより「アクションゲーム」に寄せていると感じます。

モンハンでは回復アイテムや罠などは、基本的に自前で準備が基本です。店売りにしろ、フィールドで拾ってきたものから調合するにしろ、自分で用意する。

この文脈はRPGのそれで、より強大な敵を狩るためには入念に準備するというプロセスを踏むことになります。

対して、その辺りをシステムが補充するようにして、ある程度プレイヤーの状況を均質化するようにした。モンハンでは罠は使うも自由、使わないも自由でしたが、本作はそこまで含めて「使え」とメッセージを送ってくる。

この辺りのバランスはダークソウルとSEKIROに似ているものがありますね。

 

地味な評価点と課題

なお、本作の単独の評価というとちょっと違いますが、操作系をシンプルにまとめてきたのは高評価。

ωフォースのアクションって大体ボタン同時押しが、何かしらにアサインされていることが多く、正直やめてくれと思っていた部分がありました。

特に討鬼伝薙刀の受け流し操作がボタン同時押しなのは、えぇ・・・、となっていた部分。

タイミングが大事な操作に、操作ミスが混ざりそうなのはきつかったのですね。

今回は、特殊操作は基本的にR2で一本化されているのでボタン一つでタイミングが取れる。やったね!

 

逆にアイテム回りは相変わらず弱い。

本作ではランダム収集要素は護符となるのですが、相も変わらずソート機能が貧弱。

数を集めるしかない要素であるだけに、スキルごととか効果量でソートできてもいいんじゃないかと。

アイテム回りのインターフェースの貧弱さは伝統なのかしら。

 

最後にエンドコンテンツが現段階では弱め。

エンドコンテンツ扱いの獣を倒しても目新しいパワーアップはそれほど見込めない、というのはバトルジャンキー以外挑むメリットが少ないわけで。

極まったハクスラ民以外はそれほど魅力に感じない、となれば辛いものがあるのではないかと。

最も、強化システムのアプデはすでに告知されているので、新規IPだから様子を見ながらリリースしたい、というところなのでしょう。

武器種間の調整も変なところがなかったので、大事に育てていこうという気概を感じます。

 

まとめ

良作~傑作の間。

間違いなく、狩りゲーという歴史に新しい歴史を打ち立てた作品と言えると思います。

ただ、傑作と呼ぶには人を選ぶゲームです。というか、ゲームの作りがすでに人を選んでいる。

少なくとも間口の広い作品ではないし、メインストーリー後の難易度曲線がついてこれる奴だけついてこいって、なってるのは正直びっくりした。大手でそれをやるか、と。

狩りゲー自体がニッチジャンルではあるので、コアなファンをがっちり掴みたい、ということなのかもしれません。

 

なお、討鬼伝をプレイしていた人にとっては、獣のモーションの端々に「鬼」の残滓を感じてニヤニヤできるでしょう。

クロマトイの羽ぶんぶんとか、ジゴクザルの腕わちゃわちゃとか。

お前ら、そんなところで生きとったんかい・・・

 

ビジュアルは四季の綺麗目な感じなので、そこらへんは流石のコエテク。