NoOneLivesForever

己のゲーム遍歴 あるいは 感情のパンくず

ままならぬ「The Last Remnant」レビュー

お久しぶりです。sitaranaです。

 

いやーSteam Summer Sale2023始まりましたね!

ホリデーセールもあるんだから積みゲーは抑えておかないと、と思いつつ目が欲しくなってしまう。

こうして積みゲーは生まれるのだ。

 

などとポエム刻む暇があったら積みゲーの消化です。

本日のレビューは「The Last Remnant」。実は昔Steamで販売されていたことがあったので、その時に購入して積んでいた作品です。*1

風の噂でサガっぽいという評判だったので気になってたんですよね。

 

プラットフォームはSteam、プレイ時間は50時間強。

よろしくお願いします。

 

どんなゲーム?

端的にこのゲームを表現するならば、リニア式にしたサガというのがしっくりします。

加えて言うなら、大体のシステムはどこかで見たなー、という既視感。

 

例えば、ワールドマップでポイント選んで小マップに入る構成だったり

 

例えば、シンボルエンカウント方式で、複数のシンボルとまとめてエンカウントすると報酬が良くなるシステムだったり(チェイン)

 

例えば、フィールドアクションだったり、

 

レベルではなく、能力値別の成長システムだったり

 

サガシリーズ履修者からすると、ミンサガ?という印象が強いです。

実はクラスというジョブ的な概念もあり、そこら辺も近いものを感じたり。

もっともクラスは役割が似てるだけで全く別のシステムなので、あくまでファーストインプレッション。詳細は後述します。

 

ここまで何となく似てるという要素を列挙してきましたが、実態としては似た要素があるだけでほぼ別ゲーです。

そして、その最たる部分は戦闘システムにあります。やっぱサガだなおめぇ。

 

ユニオン

本作を語るうえで外すことができないことの1つが戦闘システムです。

本作では、個vs個ではなく集団vs集団を指向する戦闘システムになっています。

戦闘の絵面はこんな感じ。

 

手前の味方集団と奥側のモンスター集団が対峙しているような構図が本作での基本。

敵も味方もユニオンという最大5体が集合した部隊単位で戦闘を行います。

勿論ユニオンは自由に編成出来て、自分好みの部隊を編成することができます。

 

自分、この手の部隊編成というのがぶっ刺さりで、これだけでかなり燃えるんですが、本作の独自システムはそこだけではありません。

 

なんと距離の概念があります。

前衛とか後衛とか?いえいえ、もうちょい広くて2次元上相対位置としての距離です。

 

右上にちょこっと乗ってるだけですが、赤と青の▲で配置が可視化されているところが見えます。

これちゃんと距離に応じて敵ユニオンとの接敵順が変わったりするんです。

こういうのされちゃうと、SRPGとかRTSとか齧ってる身としてはシステムを落とし込もうとしている感があって、とっても好きになってしまう。

 

また、戦闘の指示自体は上記画像の通り、単純なコマンド選択式になっています。

その点複雑になりすぎないようにも配慮されているように感じます。

集団がわちゃわちゃ戦うのは、それだけで見ていて面白いというのも加点要素。

戦闘バランスもサガに近い感じで、敵の行動が悪いとゲームオーバーに結構なるのでそのあたりも安心。

 

じゃあ、何がしんどいのかってマスクデータとか諸々の情報を把握してないとコントロールが効かないシステム全般です。

 

とっつきやすくなったように見せかけて

本作、サガっぽいシステムの割に能動的に制御できることが少なめです。

装備は主人公しか変えられないし、実は戦闘中に使用する技術も個別に選択するのではなくキャラごとの傾向と戦況から自動選択してくるので使用・未使用のOnOffして制御する。

サガというと、戦闘中に取った行動が成長にバイアスをかけるので、これを簡易的に制御できるわけですね。

また、リニア式のシナリオなのでメインストーリーがはっきりしており、メインストーリーの進行に合わせてユニオンの編成上限が解放されていく王道のアンロック。

 

できることが少なめなので、ユーザに負担がかからないか・・・というとそんなわけはなく。

基本的には遠回りで制御するように置き換えられている、と思えばよろしい。

仲間の装備の更新は自由に行えないし、戦闘の際にどのキャラにどのコマンドを使うかを指定することはできない。

 

加えて、初見でなんともしがたいのがクラスの概念。

ミンサガではジョブを買って付け替えるシステムでしたが、本作のクラスはどちらかと言えばパラメータの成長の一種です。

武器を使った行動を取っていれば近接系のクラスに昇格するし、術使っていればそれに応じたクラスに変化する。

じゃあ何が問題なの?となると、アイテムとか回復術使うと近接系のクラスにたどり着けなかったりすること。

このあたり、作中ではなんも言及はありません。そのうえ、よっぽどのことをしないと傾向を変えることが難しい。

敢えて言いましょう。アンサガか貴様

 

ただ、全般的にバランスは悪くありません。というか、この辺の成長が適当でもストーリークリアまでなら何とかなるようになっているのは流石というところ。バランスが適当というか大味。

だから自分が問題だと思うのはバランスではなく、プレイヤーがカタルシスを得るのが難しいシステム設計になっているところです。

先に述べたように、本作では成長の制御が他のRPGと比べて独特であり、それを制御するのにかなりのゲーム内知識を要します。それに対して、ゲーム内で説明される要素は少なく、直接的なアクションで制御できるものでもない。

また、仲間の装備を直接更新できないと言いましたが、実は仲間が装備を勝手にアップグレードしてくれることもあります。

これが何を意味するかというと、戦ってればそのうち成長する、という身も蓋もない結果になるのです。

 

更にここに面倒が乗ってくるのが、装備を強化するためのアイテムがどこにあるのかわからない、という問題。

本作、ほぼすべてのモンスターが固有の強化素材を落とすうえに、色違いの連中が大量に居るせいで、欲しい素材をどこのどいつがドロップするのか非常に分かりにくい。

また、鉱物系の素材は頻繁に要求されるにも関わらず、(おそらく)サブクエストで特定のダンジョンを開放していかないと入手できない素材が多数存在します。強化のためには順を追って段階に応じた素材を入手する必要があり、どこかで梯子が途切れがち。

このあたりメインストーリーを進めないとユニオン編成数が増えない、という制限と非常に相性が悪い。

特に仲間に至っては、仲間が欲しがっているその時にJustTimeで入手しないと強化に充ててくれないことから、不便さが際立ちます。

パーティー共有財にあるんだから、適当に持って行ってくれ。

 

まとめ

佳作です。

独特の戦闘システムが魅力ですが、

こう、なんかいろんな要素がちがはぐで、なおかつWikiを熟読しないと何がどうなるのかさっぱりというのが非常によろしくない。

周回させてシステムを把握させ、プレイヤーに計画させるという方針であるにしても、マルチヒーローでないので周回のモチベーションになる要素が薄い。

戦闘加速を使ってなお50時間程度かかったので、1周あたりのプレイ時間も短くなく、周回向けにデザインされているようにも感じませんし。

PC版では周回向けにハードモードが用意されていますが、そっちはシステムを把握しきっている人向けなので用途が違う。

ゲームのプレイ体験の中で、より高い難易度への挑戦に至る導線、つまるところ梯子を外されてしまっているように思います。

*1:今は日本からだと購入がロックされているようです