sitaranaです。
良く無い風邪をひっかけてしまって、えらい辛いです。
1週間経っても喉がダミ声しか出せねぇ。
こういう時は神頼み。諸々の禍つ事罪穢れを 祓い給え清め給え(意味が違う)
というわけで、今回は「大神 絶景版」をプレイしました。
朧村正とか、当時気になってはいたものの、お小遣いの枠から外れていた作品です。リマスターはやっぱりありがてえ。
なお、初出はPS2の模様。時の流れを感じる・・・。
独特のアートワークもあって独自の人気があると噂の本作、会社の同期も是非プレイしてみろと仰せでした。
プラットフォームはSteam、プレイ時間は約35時間。
よろしくお願いします。
むか~し むかし あるところに
本作のジャンルは何かと言われれば、3Dゼルダライクです。
3Dアクションであり、ダンジョンを攻略するごとにアクションが増え、各地の謎、クエスト、ギミックを探索していく。
ゲーム性の違いとしては、ゼルダの伝説に比べると構成がリニアに寄っていること。
作品にもよりますが、ゼルダの伝説では目的地の探索も含めての謎解きであることが多いですが、本作では目的地そのものは明確に示されることが多いです。
さて、では本作の特徴は何か。
それは独特に作り込まれた世界観とカプコン謹製の気持ちの良いアクション、そして独自システム「筆しらべ」が挙げられます。
まずは世界観から。
本作で描かれる世界は、日本神話及び民話をごちゃ混ぜにしつつ独自要素を付け足して再編したものです。
ぶっちゃけると、そこら辺を元にした2次創作ですね。
↑OPの一幕。ヤマタノオロチ伝承が元のようだが、様子が・・・?
OPからかなりかっ飛ばしており、ヤマタノオロチの話でイザナギとイザナミが出てきたあたりで、古文の成績が怪しかった私でも”登場人物が違くないか?”と違和感をすぐに感じられるくらいにはアレンジされております。*1
創作神話ということで、登場人物の大まかな立ち位置と名前くらいしか類推できる部分はありませんが、雰囲気は圧倒的に”和”。
なんというか、語りや話の顛末、緩急のつけ方がそれっぽいんですね。
アートワークも全体的に墨絵・切り絵調で統一されており、昔のことっぽい絵作りが大変魅力的です。
日本昔話という番組を見たことはあるでしょうか?雰囲気的にはアレを彷彿させます。
音楽も和楽器が目立つように構成されているのが見事。普段は音楽の方には言及しませんが、雰囲気作りとして本作に欠かせない要素なのは間違いありません。
↑割とみんなテンションはこんな感じ。敵も味方は大抵は憎み切れない造形がされている
ふであそびのじょうずな おおかみがおりました
残りのアクション部分と筆しらべについて。
本作は驚くべきことに、かなりストレスフリーというか、アクション部分が非常に気持ち良い作りになっています。
セミオープンな探索フィールドは加速をつければかなり高速に移動できるし、縦方向にもジャンプ・壁蹴りが標準装備、かつあまり横の移動を阻害しないようにマップが構成されているため、見かけよりもきれいに走り回ることが可能。
戦闘においても攻撃、回避アクションの間に変な硬直が無く直感的に操作できます。
自分の記憶だとPS2時代の3Dってこんなに出来良くなかった気がしたので、かなりびっくり。
また、敵味方共にモーションが凝って作り込まれており、見た目から魅せてくるところも素晴らしい。
↑ちょっと見えづらいが、アマテラス(主人公)が走った後は、植物が生えるエフェクトが追従する。賑やか
アクションと絡めて本作独自の要素が「筆しらべ」。
まあ、役割としてはゼルダの伝説におけるギミック解決用のアイテム枠です。
特徴なのは発動のさせ方。
起動用のボタンを押すと、いったん時間が停止し、その間にスティック操作で筆を操作して図案を描く、というもの。
想像の通り、図案に応じて発動する効果が変わるやつですね。
↑例えば空に〇を描くと太陽になったりする
これ自体は画期的、というほどのものでは正直ありません。
戦闘・フィールドアクション双方で共通のインターフェースになってるので迷わない、とかはありますが、どちらかというと、フレーバーとしての役割の方が大きいように感じます。
というのも、先に触れたとおりアートワークが墨絵調で構成されている、と述べた延長として、筆で世界に書き足す、という体験が重要なのかな、という気がしているのです。
世界に干渉する、というよりは付け足す、というのは有体に言って神の所業そのものです。また、筆というのも東洋的で世界にマッチしていますしね。
ゲームシステムとしてよりも、ゲーム体験の構成要素としてうまいなぁ、と感じさせるものでした。
しまるところ と しまらないところ
反面、ちょろちょろ粗さを感じる部分がちらほら。
まず、筆しらべまわり。これが割と調整が粗い。
というのも、まず一時停止を挟むせいでテンポが悪くなっている場面が出てきてしまうこと。
戦闘中なんかはとどめの一撃に留めておけば誤魔化しがきくものの、フィールド探索のちょっとしたギミック解決にも必要になってくるため、高速移動できるのにいちいち止まらなければならないのが気持ち良くない。
加えて、ターゲッティングがかなりシビア。目標との距離の関係でミスることもしばしば。特に〇のパターンはギミック解決で最もよく使うものだが、空・オブジェクト・地面・その他もろもろと描かれる先によって効力が変わるので、狙ってない効果に置き換わってしまうことも。
前述のテンポロスと絡めると”違う、そうじゃない!”っていうのを体験しないプレイヤーはいないでしょう。
大き目のギミックは仕方がないにしろ、フィールド上の小粒のものは移動に絡めて一時停止を挟まないアクションで解決できるとよかったように思いますね。ソニフロのサイループ簡略版みたいな感じで。
次に、とにかく戦闘の難易度がぬるい & 深みがないこと。
高速移動、回避、ヒットストップと戦闘アクションにおける気持ちいい要素は揃っているものの、兎にも角にも”気にするな。殴れば終わる”くらいで済んでしまうのが非常に惜しい。
特に敵の攻撃に対して筆しらべで対応する類のものについて、タイミングは結構容赦がないくせに、被弾して雀の涙程度のダメージしか負わないのが宜しくない。
要は”対処しなくてもどうにかなる”という味付けになってしまってるんですね。
その結果がとにかく適当に回避を挟みながら殴ればいい、というのはあまりにも味気ない。やっぱり、ある程度の”戦った感”は必要だと思うのです。
最後に、謎解きの導線が急に下手っぴいになるタイミングがたまにあること。
基本的に相棒役のキャラがほぼ解答を言ってしまうために難易度は激甘なのですが(これはこれで賛否両論ありそうですが)、本当にたまーに、脈絡がないというかヒントを置く場所がおかしいのが数か所あります。
こういうのは、プレイヤーの頭を働かせて解かせるのがゲーム体験として重要な部分もあると思うので、もう少し何というか、匙加減を調整してもらえたらなぁ、と。
まとめ
良作です。
ゼルダ系が好きなら馴染めると思いますが、多分嗜好的にはインタラクティブさがあるストーリーものをプレイしたい人のが合っている気がしますね。
大神降ろしとか、ビジュアル面・ストーリー面での演出もツボを心得ており、良質の紙芝居を見れる感じです。
なお、難易度設計はゆるゆるのガバガバだと思いますが、構成要素の端々からはブレワイの先駆けなんじゃないかと思うくらいの重なりとセンスの良さを感じました。
まあ、粗さも相応ですが、これがPS2時代に出ていたというのは、改めて見るとすげえなと思うばかりです。件の会社の同期はゼルダ大好き人間なので、勧めてくるジャンルはきっちり重なってますね。
ただし、ストーリーの風呂敷をきっちり畳まないのはカプコンの悪いところがもろに出てます。主に月関連。
続編の野望があるのは分かるし、話のタネを仕込んどくのも分かるんですが、あまりにもあからさま過ぎる。ToBeContinuedって書いてないのにテロップが出てきてるのを幻視しちゃうくらい。
そのうえで何ですが、本作は続編作るのがかなりシンドイ類だろうな、と個人的には思います。というのも、本作は割とゲームシステム面では独自性が薄く、世界観・芸術観の方面から作品が形成されているように思われるからです。
となると、続編でコアになるゲーム体験を構築するのに苦労するだろうなぁ、というのが私の予想。
今だったらオープンワールドに拡張されるのでしょうか。それはそれで見てみたいですね。
散々文句は付けましたが、大神は面白い作品でした。
是非続編で月関連について風呂敷を畳んで欲しい。続編カモン!(小さき太陽からは目を逸らし)
*1:振り返ってみると、元ネタ(日本神話)とはベツモノですよ、というのを分かりやすく伝えるための演出だったのかもしれない