NoOneLivesForever

己のゲーム遍歴 あるいは 感情のパンくず

時間喰い虫「ChronoArk」レビュー

年末ギリギリ滑り込み(したかった)。sitaranaです。

前回のレビューから大分日が空いてしまいました。

ちょっとばかりゲームの時間をうまく取れない状態が続いてこのざまです。

とは言え、年末に1本もプレイしてないってのはどーなのよ、と駆け込みでクリアしてきた挙句に投稿は年を越した始末。

 

はい。

そこはさておき、本日のレビューは「ChronoArk」。カードタイプのローグライクです。

 

プラットフォームはSteam、ver1.1j。

プレイ時間は約80時間。よろしくお願いします。

 

へい、アザール。どういうゲームか教えてくれよ

本作はSlayTheSpire系、いわゆるデッキビルド形式のローグライクです。

プレイを進める中で行動手段であるカードを集めてデッキを強くしていき、クリアを目指していくという方式。

 

基本要素は概ね完備。メタプログレッション*1も備えています。

チュートリアルも充実しており、本作の戦闘システムの基本を教えてくれる・・・くれるのですが。

 

長い。

比較的親切なのと、独自要素多めの戦闘システムのため、ゲーム始めたてのプレイヤーの頭に放り込むにはなかなかヘビー。

 

ざっくりと説明すると、

FF10のようなカウントダウンの行動順管理システムのコマンドバトル方式、というところまでは割と分かりやすいところですがHPの減り方が独特。

攻撃を受けるとHPが減少して一旦ゲージとして保管されますが、戦闘終了するとその分は取り返せる、というもの。

ただし、そのまま次の攻撃を受けるとHPとゲージの両方が削られ、さらにゲージを失った分は回復の効果が減衰するという一見分かりづらい仕様。

更に、コマンドはコスト形式で、毎ターン支給されるマナ(要は行動ポイント)をコストにしてコマンドを実行する・・・など、基本となる戦闘システムだけでも結構な文量。

 

加えて、本作ではデッキのアーキタイプ設定が他と比べると独特で、パーティメンバーをピックする、という形になっています。

 

各パーティメンバーは最低5枚のカードを保有しており、それらがまとまってデッキとなります。

それぞれのパーティメンバごとに獲得できるコマンドが異なるので、パーティメンバーの選択がアーキタイプの選択となるわけです。

面白いのがHPは各パーティメンバーがそれぞれ保有しているということ。

この手のデッキ構築型のゲームでは「有効札を引く確率を上げるためにデッキから必要なカード以外はできる限り削った方が良い」という不文律のプレイテクニックがあります。

本作ではそこに対して、パーティメンバーを増やすとパーティーとしての総HPが増えるけど、デッキの最低枚数も増加するというトレードオフを設定しています。

まあ、基本的に一人でシナジーを形成できるキャラはかなり少ないし、パーティメンバー数でマナの総量に上限がかかったりするので、パーティメンバーを増やさない、というのは縛りプレイの範囲です。

なので、実質的にデッキに最低枚数が設定されているようなもの、と考えればいいでしょう。

 

複雑で、ちゃんと奥深い

私が思うに、本作の面白さは2つの軸があります。

一つは選択肢の豊富さ。

ローグライクなんて選択肢の多様性と札を切るタイミングで勝負をかけているようなジャンルです。

なんで、そこらの競合他ゲームと比べて胸張って「豊富」だと言い切れるか、というと自分も自信がありません。というかSlayTheSpireをクリアしてない時点で比較基準で言えるほどの知見はありません。

しかし、それでも単純計算でヤベーなと推測できます。

それは、本作でのデッキアーキタイプの役割となるキャラクター数の多さ。

総数20人なので、この中から4人パーティーを組むとそれだけで何通りあるので?と遠い目になり、各キャラクターはほぼ性質が異なる2軸のカード特性があるので単純2倍。

ここまでくると、そこそこ性質被るんじゃない?って懸念がありますが、これも割と差別化されています。

差別化のイメージが湧きにくい回復役にしても、単純回復・継続回復・一旦ライフの代わりとなるバリアとして置換してから回復する変則タイプなどなど・・・

このキャラ数で本気で丸被りしているキャラがいないっていうのは、ちょっと驚いた。

なので、プレイするたびにこのキャラとあのキャラと、と試行錯誤の伸びしろがかなり大きい。

プレイヤーに考えさせるゲームというのは遊びとして好印象です。

 

もう一つはダメージの伸び方の予想がつきづらいこと。

敵じゃなくて味方の方の。

自分でも不思議ですが、おそらくこのゲーム中の表面的に見える値がデフレ路線に見えがちというところがあるんじゃないかな、と思います。

 

↑中ボスとしては割と強い方

 

例えば、これくらいの状況なら1ターン100オーバーくらいの火力がでます。

というのはどいつもこいつも効果内容や発動条件となるテキストが大量に散りばめられているせい。

なんせ「毒だったら追加ダメージ」程度の効果は序の口で、基本的にその2~3倍くらいのことが書いてあるのがこのゲーム。

遊戯王MTGか?ってくらいにはややこしいのです。序盤から出てくるスキルでもこれくらいのテキストが出てきます。

 

さて、こういうぱっと見で効果に実感がついてこない時、カードゲームだったら皆さんはどうしますか?

デッキを仮組して回したりしないでしょうか。

シナジー発揮しないか組んでるとき、ワクワクしませんか。

実際にシナジー発揮したらウヒョーってなりませんか。

 

本作は、最初に2人のキャラをピックする方針の立てやすさも相まって、

デッキを回してみることまで含めた対戦型トレーディングカードゲームの楽しさを落とし込んできているな、と感じました。

 

ついてこれるか?

本作面白いのは間違いないのですが、難点がいくつかあります。

 

一つは1周あたりのプレイ時間が長い、ということ。

慣れないうちは、概ね完走すると4~5時間はかかります。

これの何が辛いかというと、本作はとにかく組み合わせを試行錯誤して練り上げていくゲーム性だということ。

1周の始まりにパーティメンバー2人をピックすることから分かる通り、本作では周回の始めにプレイスタイルをある程度設計するタイプです。

そして4時間とかかけて戦闘やオブジェクトなど、運要素も乗り越えてスタイルを完成させていくわけです。

何が辛いって、気軽に始めても試行回数を稼げないこと。うまくいった・いかなかったのフィードバックに時間がかかるのもシンドイものがありますが、本当に試行回数が稼げないというのがきつい。

ローグ系の本丸はプレイヤーの経験、知識といったものを積んでいくことです。その経験を積むスパンが長いっていうのはそれだけで人を選びます。

そのうえ、本作ではキャラクターがなんと20人も用意されています。

組み合わせで考えると、最初の二人のピックですら20C2 = 190。最終的に1周では4人ピックすることになるので、意図的に偏らせなければ周回を回すうちに全く触らないキャラというのは少ないでしょうが、それでも組み合わせで見ればやはりパターン数は相当にあります。この組み合わせに関する経験を積むのに湯水のように時間をつぎ込まないといけない、と気づき始めると気後れしてしまう人もでるでしょう。自分はそういう人でした。

なにより、休日にプレイを始めても2~3回が限度という時間制限がキツイ。途中セーブがあるので日を跨ぐこと自体にペナルティはないものの、勢いがないと辛くなるってのも地味にネック。

 

次に、実はベースとなる難易度がそこまで高くない割に、クリアまでに相当数の周回を要求するということ。

「あれ?面倒な感じなのに難しくないの?」と思われた方、その意見は真っ当です。

大抵の場合、システムが複雑であればあるほどその習熟には相応の経験と、そのための時間的な投資が必要になるのが常だからです。

しかしながら、ほんっとーに意外だったのですが、デフォルトの難易度であれば割とクリアできる作りになっています。

それこそパーティメンバーのピックが破綻さえしなければ、初見突破できるくらいには。

これは明らかに計算されたバランスです。

何故ならば、本作は他のローグライクと比べて周回に対する扱いが異なるからです。

通常、この手の形式では最終ステージをクリアすることが1つの大きな目標として設定されます。つまり、

1.ある程度のステージまで進む

2.何かしらの要因でゲームオーバー

3.次の周回で別の試みをしながら最終ステージを目指す

 

というループを繰り返すわけです。この構造の良いところは目標がはっきりしていて、どのステージまで進んだかという尺度で成長を感じやすいということ。

それに対して本作ではストーリーの進行の条件が最終ステージのクリアで、なおかつそれを何度も繰り返すことになります。

この構造自体が一概に悪いってわけではありませんが、成長とか達成という感覚はかなり感じにくくなっています。

これにパーティメンバーの数の多さが拍車をかけます。自分のプレイ経験からすると、おそらくストーリークリアするあたりでようやく一通りのキャラに触れたな、というくらいになります。

これの何がよくないって、クリアするまであんまり上手くなったという実感が薄くなってしまっているところ。各キャラクターそれぞれが個性が出ているだけに、毎回パーティーメンバーが異なると上手く使えてるのかどうか自信が持てなくなってくるんですよね。

加えて、ストーリークリアまでに周回する大半で周回ボスがほぼ変わり映えしないというのもバッド。

パーティメンバーの豊富さに反して、どうにも変わり映えしないなという印象にすらなります。

ストーリーの進展という明確な進捗があるとはいえ、もう少し周回ごとの変化も欲しかったところ。

自分としてはその味変の立ち位置がチャレンジモード*2に割当たってくれるとよかったのですが、こちらではストーリーの進捗にはカウントされないジレンマ。チャレンジモード自体は楽しいんだけれども。

 

総じて、面白さは序盤でキャッチアップされるのに、そのまま完走するのがダレる、というアンバランスさを感じるものでした。

 

まとめ

良作です。人は選ぶけど。

何が人を選ぶって超大器晩成型だってこと。ぶっちゃけデフォルト難易度でストーリークリアくらいしてチュートリアルの感。

逆に言ってしまえば、それだけやりこみの奥が深いゲームでもあります。ハードモードや苦難系のチャレンジなど、単純に難易度を上げるモードから特殊ルールのチャレンジモードもあるしで、ハマれたなら効率的に時間を溶かすことができるでしょう。

ルールベースでシナジーを考えて殴り合う、そんなゲームを煮詰めたい人におすすめです。

 

 

*1:周回を挟んでも持ち越される恒久的な強化、で合ってるのかな?

*2:カードバランスなどが調整された特殊モード