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汝、邪なる瞳 デモンゲイザー!「DEMON GAZE EXTRA」レビュー

こんにちは。

暑かったり涼しかったり、秋の夜長のsitaranaです。

 

今回レビューするのは「DEMON GAZE EXTRA」。

本作は、知る人ぞ知るEXPERIENCE・チーム ムラマサのWizライク x トレハンRPGです。

Wizライクというと比較的硬派なイメージで、とっつきにくい・・・でも触っておきたい・・・というような心持。

そんな微妙な心境で積んでいた本作ですが、有給を盛大に使い散らかしてプレイしましたよ!やっほー!

 

プラットフォームはSteam。プレイ時間は約57時間、難易度あったかい(Normal)。

よろしくお願いします。

 

 

カジュアルなWizライク

はい。冒頭に"Wizライク"と看板をつけましたが、本作は軟派もナンパ。

無茶苦茶カジュアルです。

まず絵柄からして、硬派のこの字もありません。

 

ね?

 

まあ、冗談は置いておくとして。

システム面の根幹はWizライクの王道。主観ビューの3Dダンジョン探索と、キャラメイクによるパーティ編成から成っています。

その反面、システム面は近代ユーザに寄せた、とっつきやすい形式になっています。例を挙げると、

  • キャラの死亡に関するペナルティがほぼ無い。復活に料金がかかるものの、ただ同然に安い上に、ロストなし・デスペナなし
  • スキル・魔法は使用回数制ではなくMP方式
  • ストーリーもちゃんとある

 

といった具合です。

感触としては世界樹の迷宮が近いでしょうか。

世界樹の迷宮ではサブ職に当たる要素は「神器」というアイテムになっています。これは他職のスキルを着脱可能な装備品にしたもの。

 

独自のシステムとしては、ゲームタイトルにもついている「デモン」をサポートとして使役できることが挙げられます。

立ち位置としては概ね主人公がトリガするパーティースキル+召喚獣というもの。戦闘中に召喚することもできるけど、HPがゼロになるとデモンのスキルもパッシブ・アクティブ共に使用不能になるため、召喚タイミングが結構大事。

 

個人的にはキャラの死亡に関するペナルティがほとんど無い、というのが一番ありがたかったところ。

積み重ねたものが失われる可能性がある、というのは かなり気持ち良くないのでキャラに思い入れが出るタイプのRPGでは、それがあるだけで避けている要素でした。

このあたりを踏まえて、私見では初心者にもとっつきやすいWizライクなのだと思います。

 

古典的なRPGの魅力

さて、RPGの楽しさと言ったら千差万別、人それぞれでしょうが、最も古典的な要素の1つは成長ではないでしょうか。

数多くの作品において、レベル・パラメータ成長が設定され、職種などのキャラクターごとの個性付け、ダンジョンに潜ってのアイテム収集など、キャラクターを今よりもっと強くするという要素を備えています。

できることが増える、ダメージ量が増える、苦戦していた敵も楽に倒せるようになる・・・そういった達成の報酬系です。

 

前節では世界樹の迷宮と比較しましたが、本作と世界樹の迷宮の最大の違いはゲームコンセプトにあると感じます。

世界樹の迷宮が「探索」をテーマにしているのなら、本作は「トレハンによる成長」を重視しているのです。

というのも本作、最初から最後まで徹頭徹尾「トレハンしろ」と主張しているからです。

まずチュートリアルでトレハンの方法を紹介されます。そして基本的に装備を新調する方法はこのトレハンのみ

↑本作のトレハンは固定ポイントで敵を殲滅すると装備品がドロップする方式。ドロップ傾向を「ジェム」で調整する

 

結果として、金を稼ぐためにトレハンし、

ボスを倒して新しいダンジョンに入ったら装備を整えるためにトレハンし、

ラスボスに挑む前にはトレハンして装備を強化し、

クリア後も装備を収集するためにトレハンする。

というような、トレハンすることを軸にゲームが構成されているのです。

 

ぶっちゃけ、このトレハンただの単調作業であり、面倒なうえにレベル上げと何が違うの?という話なんですが、大違いであると主張せざるを得ません。

だって、良い装備が手に入ると嬉しいじゃない?(爆)

 

そうです。トレハンとレベル上げ、何が違うって「新しいアイテムを所有する」というこの感覚こそが最大の違いです。

何でか分からないものの、所有欲とでも言うのか外付けの何かがアップグレードされることは、本体の成長とは別枠でなんか嬉しいのです。

現実でもPCとか車とかバイクとか、本人のスキルが向上するのとは別にモノの性能を上げたり装飾したりといった方面に情熱が燃えることは珍しくありません。

そういう意味では「成長」より「物欲」にフィーチャーしている、という方が適切なのかもしれませんね。

 

なお、トレハンにはシステム面でもテコ入れが入っていて、周回するのが前提なのかオートトラベルとかオート戦闘なども充実しています。

皆さんも是非沼に溺れましょう。

 

それはそうとして不満点

さて、それはそうとして不満点。

 

システム面では、キャラメイクできるキャラ数が足りない、という点。

本作の主軸はトレハンにありますが、道具は使うためにあります。特に本作で収集する対象は装備品、このため集めたコレクションは使ってみたいというのが本音。

戦力向上の観点ではメンバに合わせた装備が取得できればいいわけですが、ポロっと合わないけど強そうな装備がドロップするわけです。

使 っ て み た く あ り ま せ ん か?

そして装備の性能を引き出すためには適切な使い手(職やパラメータ振り)が必要です。

まあ、キャラメイクしたところで育てるには時間がかかる問題はありますが、それよりも問題になるのはキャラ作成上限が7体しか保持できないことにあります。

このゲーム、7種類の職 x 5種族(+種族固定の職1種)でキャラメイクできるため、1周分のデータではビルドを保存しておくのが難しいのです。

職だけみても、ステ振りで差別化して置いておくのも難しいくらい。

もうちょいキャラ上限数は多くして欲しかった。

ただこの点、おそらく、パーティ編成のシステムがかなり不自由なつくりをしているところを見るに、最初に作ったメンツで走りきることを想定しているのだと思われるので、メインの遊び方ではないのかもしれません。

(精々、一人二人作り直して補強するくらいが想定なのかも)

 

魔法職へのシステムの風当たりが強い点。

本作においてはアタッカーは物理職が基本となっているのですが、数は少ないものの魔法職のアタッカーポジも存在します。

近年のRPGの鉄板として、本作でもバフ・デバフが壮絶に飛び交うのですが、魔法の威力デバフを能動的に解除する手段が存在しない、というのがキツイ。

また、デバフそのものを拒否する方法もないので、相手によっては非常にシンドイ戦局にならざるを得ない。

もっとも本作の魔法職は、どちらかと言えばサポート能力+αなスキル構成になっているので、メイン火力ではない、と割り切るべきなのかもしれませんが、これだけ対抗手段がない、というのが残念に感じてしまったところ。

 

最後に、なーんか操作の受付が悪いような気がする点。

コントローラ切り替えて試したわけではないし、ボタン押し感がいいコントローラを使っているわけではないのですが、妙に反応が悪いことが多い。特にLR関連。

タイトル画面のロードにカーソル当たるのが どうもオート操作でやっているっぽい(ボタン入力しているとオート操作がキャンセルされて、初期位置がロードにあたらないことがある)とか、そのあたりで偏見が混じっているかもしれません。

 

まとめ

良作です。

戦闘バランスも程よく、この手の作品(というかチーム ムラマサ作品)の入門には適してるんじゃないかと思う。

ただ、私はコレクションマニアではなくて集めたら使いたい勢なので、ちょっとやり込む気は起きなかったかなぁ、というのが正直なところ。

トレハン系RPGの常で、使えないけど良いアイテムがドロップした、という時のカバーに欠けているのはマイナスか。

育成という要素を鑑みると、気軽に振り直せるとしてしまうのも雰囲気を壊してしまいかねないし、このあたりはトレハン系RPGの構造的問題なのかもしれない。