NoOneLivesForever

己のゲーム遍歴 あるいは 感情のパンくず

願わくば 覚めることのない 幻想で「幻想人形演舞」レビュー

連続投稿失礼します。

sitaranaです。

何故連続かというと、やりだめしてたから、というだけです。

 

本日のレビューは「幻想人形演舞」。

東方プロジェクト二次創作系のゲームです。

なんと このゲーム、無印版・アペンド版・非公式MOD版と大変息の長い作品です。

各バージョンごとに1週ずつクリアして1月くらい吹き飛んだ記録をここに記します。

DLsite / ダウンロード版、全部最新版のはず。

 

評価

面白いし、ドはまりしました。

3バージョンで計100時間くらいプレイしたんだから間違いない。

 

いつもの成分表はこんな感じ。

ストーリー:★★★☆☆~★★★★★

バトル(アクション):★★★★☆

システム:★★★☆☆~★★★★☆

 

評価にブレ幅があるのは、無印からバージョンが上がるたびに改善されていっているからです。

 

どんなゲーム?

直接表現するとよくない雰囲気があるそうなのでぼかすと、

某電気ネズミで有名なアレのクローンゲームです。

無印版が2015~2016年くらいのようなので、太陽と月が出てたあたりですね。

アペンド版も近い時期に発売されています。

 

このゲームを一言で表すなら、副題である「嫁と旅するRPGが最もふさわしいでしょう。

本家では相棒と旅しますが、こちらは嫁です。

では嫁とは何か?それは人形です。

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↑うちの嫁。プロフィール画面にも反映されるあたり、とても細かい

 

嫁と旅するRPG

本作では、幻想郷で起きた人形異変と呼ばれる事件を、

幻想入りしてしまった主人公(=あなた)が追っていくというストーリーです。

人形異変とは何かというと、

幻想郷の有名人を模した人形が、突如幻想郷中に現れたというもの。

もうお分かりですね?

霊夢とか魔理沙とかてゐとかてゐとかの人形が嫁です。(本人はちゃんと別にいる)

 

この「嫁と旅する」部分が本作の肝であり、配慮されていることはプレイして感じるところです。

まず第一に、最初の人形を全種類から1体選べる。

3体のうちから1体じゃありませんよ。それじゃ嫁と旅できないこともありますからね!

 

次にドット絵が可愛い

バトルグラフィックも可愛いので更に愛着が湧く。

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更にプレイヤーキャラの後をちょこちょこついてきてくれる。(アペンドから)

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↑歩いてついてきてくれたり、自転車に二人乗りしたり

 

本家ではLet’sGoあたりで実装されたやつで、傍目から見てフーンとしか思っていませんでしたが、これがプレイしてみるととても良い。

一緒に旅している感じもあるし、ちょっとしたリアクション返してくれるだけでも愛着

が凄いのなんの。

本作でも自転車のったり波乗りしたりできますが、それぞれプレイヤーに引っ付いてたりモーションが異なるので更に愛しい。

 

もちろんバトルもあって、共に戦い抜いていくと更に倍率ドンです。

本家みたいに草むらから野良の人形が飛び出してくるので、旅するうちに嫁が増えていくのもまた良し。

これは本家譲りですね。

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↑アペンド版では人形が幻想郷の生活になじんでいる様子も描写されるようになった

 

クローンゲームとして

クローンゲームということで、システム回りの骨子は本家を踏襲しています。

3値と呼ばれるステータス値、ステータスを補正する印、持ち物、人形それぞれが持つアビリティなど、大本の仕組みを言い換えて、バランス調整しているのが大半です。

これに関しては、製作者の方が本家の対戦好きで、

でもバランスに関しては不満があったというところから来ているもののようです。

 

特筆すべきなのは、本家でひたすら面倒だった部分をユーザーフレンドリに改修しているところです。

例えば、強い個体を得るためにはひたすら孵化作業が必要だったりとか、そういった部分です。

本作では、このあたりの労力が無茶苦茶軽減されています。(クリア後要素ですが)

 

本家でも、後年の作品では緩和されていっているあたり、やはり面倒だという声は強かったのでしょう。

この辺りは、世界観設定と利便性との兼ね合いを調整するのが難しいところです。

何せ本家では扱っているのが生物なので、下手に品種改良みたいなことにしてしまうと、世界観側が悲鳴を上げてしまうのは想像に難くありません。

本作では転生という少しぼかした表現で、新しい人形を増やすのではなく、既存の人形の能力を変化させるという方向のシステムにしています。

製作者曰く「勝手に捕まえておいて、都合が悪くなったら放流するのは愛がない」とのこと。

本家でもそういった考えはあるのでしょうが、両立って難しいですね。

 

3回も繰り返して飽きないんですか?

冒頭で触れたとおり、実は私、無印->アペンド->MOD、と計3週プレイしています。

 

3つの違いに触れると、無印とアペンドが公式、MODが海外有志作成のパッチです。

開発母体であるFocasLens様は、このレビュー執筆時点で解散しており、

続編が見込めないためにMODでキャラやストーリーが追加された形です。

 

話を戻すと、結局のところ無印から差分追加されていった形なのですが、

3週目終盤まで飽きませんでした。

というのも、総数100体以上の人形に加えてスタイルチェンジ(本家の進化相当)というシステムがあるため、

1、2週程度では使った人形のバリエーションなど、たかが知れているからです。

私がよく読ませていただいているレビューブログで、プレイ感覚を変化させる要素を味変と表現されていましたが、まさしくそれに該当します。

受け、抜きエース、積み技、耐久...etc。

本家でも様々な戦術が考案されており、この単純なシステムでこれほどのバリエーションが発生するのは驚きです。

やっぱコンセプトって大事なんやなぁ。

 

あ、「楽しむためには無印からプレイした方がいいんですか?」って話がありますが、

個人的にはアペンド版からで大丈夫だと思います。

無印->アペンドと続けてプレイした時の楽しみの大半は、無印からの改良や差分がほとんどだからです。

「キェェェェェ、立ち絵に差分が増えてるー!」とか

「敵の思考が超強化されてるー!」*1とかです。

 

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↑まあ、ほんの少しの特典もありますけどね?

 

ただし、MODは本編クリア後に導入することをお勧めします。

全体的に敵側にアッパー気味に調整されていることに加えて、エンディングの仕様も変更されるからです。

アペンドクリア後にもっと冒険を、という方向けでしょう。

なお、MOD版ラスボスは敵専用の技とかガシガシ打ってくるので、ここだけドラクエ3の魔王戦みたいな気分になりました。

それでもうまくやれば、回復アイテム無しでも勝てそうな気がするのは、やはり奥深い。

 

サンマの腸みたいに苦いこと

ここからは少し残念、というか難しかったところ

1つ目は、タイプ相性や状態異常がオリジナルになっているが、作中で説明がないこと。

結構、状態異常名が同じなのに効果が異なる、ということが多い。

本家をプレイした人ほど引っ掛かりやすいので、さりげなく注意が欲しかった。

 

2つ目はStyleChangeに関する仕様。

本作では人形はスタイルを持っていて、ある程度レベルが上がった後に派生先のスタイルを選択する、進化の変形バージョンのようなシステムを採用している。

純粋に強化要素なのだが、タイプが変わったり、タイプが同じでも能力の傾向が異なるスタイルしかない場合が結構ある。

これに加えて、いつでも努力値(PP)を振れるので、「思ってた運用ができない!?」となるケースが発生する。

特にタイプ相性は手持ちの編成に大きく影響するのでストーリー攻略序盤の罠のように思えた。

 

また、見た目が同じでもスタイルが異なると基本別物のため、タイプ相性を覚えるのが本家以上に厳しい。

一応、登場演出で第一タイプが何かは分かるようになっているが、アビリティや第二タイプ次第で通るものも通らないのでなかなか厳しい。

 

これらは対戦バランスを考えた時の調整弁なのだと思うが、

(本家と違って、バリエーションを増やすためにキャラを増やせない)

ストーリー攻略上では分かりづらかった。

 

感想

傑作です。

二次創作系でここまで上手く凝ったものを見たことがありません。

本作で実装された機能のいくつかが、後年に本家でも実装されたことを考えると、

クローンゲームとしても真摯に向き合った作品であると言えるでしょう。

 

また、スクショ機能がビルトインされているのも嬉しいところ。

GeForceのやつとか使えって?あれはあれで競合するとめんどいし...。

 

個人的な悲哀を申し上げると、

このゲーム、BGMもいい感じにアレンジされていてサントラ買おうとしたんですが、

公式が解散していることもあって、アペンドのサントラしか売ってなかったです。

ダウンロード版で販売していてくれれば...!

 

最後にメッセージを。

あなたにとって、醒めることのない夢幻があらんことを。

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*1:本当か定かではないが、一定の確率でこちらの行動結果に対して後出しで行動決定していたりするらしい