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己のゲーム遍歴 あるいは 感情のパンくず

ソウルズ系譜のいいとこどり「Thymesia」レビュー

お久しぶりです。sitaranaです。

連投じゃないかって?ちょっとプライベートが忙しくて、書き溜め状態だったんですごめんない。

 

今回のレビューは台湾のゲームスタジオから発売された「Thymesia」です。

ジャンルはソウルズ系。

当初は2021年12月リリースだったのが、延期を挟んで2022年発売となりました。

ソウルズ系も最近は色々ありますが、いかような味付けをされているのか話していきたいと思います。

 

プレイ時間は、全エンディング到達で20時間弱。

バージョンは2022/09/04時点のパッチ適用最新版です。

 

 

概要

本作は、3Dのソウルズフォロワーです。

自分の体感的に言えば、ブラッドボーン+SEKIRO。

雰囲気はダークファンタジーといったところ。音楽もゴシックな感じに雰囲気が出ていて没入感満載です。

ストーリーラインは、ある事件について主人公の記憶を追っかけていくというスタイルで、ホームから攻略マップに転送していく形式です。

 

ざっくり成長システムも紹介すると、

敵を倒すと経験値が手に入り、それを消費してレベルアップ、3つのパラメータに割り振っていくというソウルズ系おなじみのもの。

これに加えて、レベルアップによってスキルポイントが手に入り、これでスキルツリーを開放していくことになります。

 

やたら気持ちのいい戦闘バランス

自分の意見として、本作の特徴は何といっても戦闘にあります。

本作では、敵にHPと体勢という2種類の耐久ゲージが用意されており、SEKIROの体幹ゲージと似た関係にあります。

単純に言えば、HPを削るとその分だけ体勢を削ることができるようになり、体勢を削りきるととどめを刺せるようになります。

これを目標に、主に6種類のアクションを組み合わせて戦います。

  • 通常、爪攻撃
  • 回避
  • 疫術 (コスト消費型攻撃)
  • 羽 (ブラボの銃パリィ、仁王2の妖怪技カウンター)
  • 跳ね返し (SEKIROの弾き)

書いていると面倒にしか感じませんが、

通常攻撃でHPを削って、爪攻撃で体勢削り、疫術は両方、と覚えると単純です。

他の要素は防御・カウンター要素です。

 

これらの要素がスタイリッシュかつハイスピードに行えるのが本作。

特にSEKIROで有名になってから、多作品でも引っ張りだこの弾き要素ですが、本作は成功条件がとてもいい感じに調整されています。

エルデンリングのパリィは攻撃に対して「置いておく」感じで直感的ではないし、仁王2は受付猶予が厳しすぎて狙いづらい。

対して、本作のそれは感覚的にはSEKIROに近いものです。攻撃に対して「合わせる」感覚で成功してくれます。

 

また、SEKIROが弾きに重点を置いていたのに対し、本作は「使わなくてもなんとかなる要素」でもあります。

回避と通常攻撃・疫術を組み合わせて削ってもいいし、SEKIROの見切り相当のシステムもあります。

実際のところ、回避と跳ね返しを双方絡めて戦う方が効率的です。

が、この「君がそうしたいなら、そうしてもいい」という塩梅は控えめにいってGoodJob。

敵は通常攻撃で怯むし、攻撃動作に入るとアーマー(作中では、妨害無効)がつく、というのも説明されていて、理不尽要素もありません。

まあ、アーマーつくのでパリィしてね、ということでしょう。

リターンもきっちりしているのでやるだけ損、ということもないですし。

それにしたって、疫術にアーマーを剥がせる類のものが用意されているくらいです。

 

現在のソウルズ系で頻出しているメジャーなシステムをハイレベルに調整していると言えるでしょう。

 

プレイの幅を支えるスキルツリー

本作では、やりたいように戦うために、スキルツリーによるアクションの強化が用意されています。

これのバランスも良くて、特定の行動を変質させるというものまで含まれています。

例えば、銃パリィ相当の羽ですが、これを素早く敵に接近する突進攻撃にカスタマイズすることもできます。

これで羽を敵に張り付くための手段にしておいて、特殊攻撃を跳ね返しできるように拡張( デフォルトだと特殊攻撃は跳ね返しできない)する、みたいな真似ができてしまうのです。

 

勿論、こんなのは一例でしかなくて、

疫術で対処してもいいし、回避したっていいわけです。

この、敵の行動に対するリアクションを柔軟に差し替えることを許す幅が個人的には目からうろこでした。

大体の場合、スキルツリーといえば最終目的は変わらない方向性の強化がメインになることが多いので、他の要素を食っちまうのはNGになりがちですからね。

 

ちょっとしたアラ

全体的に戦闘バランスに特化している本作ですが、猛禽爪に関しては序盤くらいしか使いどころが見いだせませんでした。

というのも、猛禽爪は爪攻撃の溜め攻撃。このハイスピード感の中で、唯一の溜めアクション。

戦闘速度が上がるにつれて、隙ができる行動は様々なリスクを呼びます。

攻撃を受けるリスク、タイミングを取りづらくなるリスク、他の素早いアクションと比べた時の機会損失のリスクなどです。

それらに対して、リスクに見合っていないな、というのが正直なところ。

一応猛禽爪を使うと、敵から1回だけコスト無視で使える疫術をコピーできる、という特徴があるのですが、後々習得できるものと性能差はないっぽいし、リターンが少なすぎる感じ。

 

難易度について

難易度は結構優しめだと思います(SEKIROクリア済み感)。

ボス戦は操作に慣れていない & 種々の操作を満遍なく要求してくる最初の1体、そして裏ボス的なやつが少々強めに感じたくらいで、対処方法がはっきりしているものが多い印象。

大型のボスって大振り&高パワーが多いから、逆に戦いやすいんですよね。

 

雑魚にしても、結構様子見行動取ってくれる傾向があるので、2~3体くらいに囲まれていても各個撃破が容易です。プレイヤー側の攻撃範囲が広いのも一因でしょうか。

 

自分は20時間弱かかりましたが、上手いひとなら10時間くらいで何とかなるんじゃないかな?

 

総評

良作です。ソウルズ系好きな人には漏れなくお勧めできる。

画期的なシステムは搭載していないものの、ハイレベルに仕上げられた職人の技です。

 

細かいところ言うと、アイテム使用で経験値を獲得できるソウルの残滓系のアイテムの効果(獲得量)が、メニュー画面で確認できないとかびっみょーな不満点がありますが、アイテム数が少ない本作では本当にささいなこと。

欠点を補ってあまりある作品です。