秋の夜長にこんばんは。
sitaranaです。
相変わらず令和ちゃんは気温調節が上手くいってない感が漂う今日この頃です。
自分は好きだけど、マイナージャンルだから作品の数が少ないってパターンありますよね。
本日のレビューはそういう類。「ダンジョンイクサ -魔王軍の再興-」です。
プラットフォームはWindows(DLSiteで購入)。Ver1.22、難易度「ふつう」。1周目クリアで15時間弱くらい。
よろしくお願いします。
ダンジョン
(言いたかっただけ)
はい。端的に言うと本作はダンジョン作成型のタワーディフェンスステージと、それに伴うユニット雇用費用などの資産管理SLG、ターン制RPGを組み合わせたゲームです。
前半のタワーディフェンスと資産管理の要素が巣作りドラゴンと同じような感じで、
後半のターン制RPGが 開発元あとらそふと でしばしば採用されている戦闘システムという感じ。
それだけでは、説明になっていないのでかいつまむと
- N x Nのマス目をダンジョンの全体として、各マスが部屋として扱われる。部屋は上下左右の接続を弄ることができる
- 不定期に敵がダンジョンに進行してくる。最奥まで進行されると、資金を奪取され、資金ゼロになるとゲームオーバー
- これを防ぐために、部屋には迎撃用のトラップ、施設と戦闘員を設置することができる
- 施設には戦闘には寄与しない生産系の施設や、システムを解禁するためのものもある。このため、純粋に敵を食いつくすダンジョンというよりは、生活の拠点を運営するという雰囲気がある
ダンジョン経営型タワーディフェンスというと、似たような作風のものは数ありますが、同じテイストのもの、というと大分少な目。
当たり前のことですが、後発の作品は先発の作品に対して、何かしらのインパクトを用意するのが常套手段ですが、ちょっとごたごたしてるなー、というのが個人的な印象。
なので、極めてシンプルにダンジョンをポチポチして敵を迎撃する、というこのスタンスが気持ちいい。
ユニットロストがないのもありがたいところ。代わりによく死ぬのが当たり前とも言う。
巣作りドラゴンだと、ユニットロストあるくせに、敵のレベル上がると即死攻撃バンバン振ってきてたからね。
イクサ
前述した通り、後発の作品として 巣作りドラゴン にはない要素がある。
それがタイトルにも含まれている「イクサ」パートである。
といっても独自要素の塊、というわけではない。前節でも述べたが、簡易的なRPGパートがついているとイメージしてもらえればよい。
ワンマップに詰められたマップ上を移動し、敵拠点を制圧していく。制圧の際にはターン方式のバトルを行う、という形だ。
ダンジョン運営ゲームじゃん!と始めたのだが、本作はそれだけやってればなんとかなる、というわけではない。
むしろ、ゲーム攻略としては「イクサ」パートこそが本筋である。
なにせ、金策(少なくとも序盤は)・シナリオの進行はこちらを進めないといけないからだ。
どちらかと言えば、「イクサ」パートのアクセントとしてダンジョン運営がついている、と考えてもよいかもしれない。
この点は、本家巣作りドラゴンとの明確な違いとして出ている。
さて、このターン制戦闘システムはAPという値を行動力として表し、それをやりくりすることになっているので、普通のドラクエ式より多少込み入った戦術を考える要素がある。
ターン毎に回復するAPを消費して各種攻撃や回復などのアクションを起こし、待機などでAPを次のターンに持ち越して強行動を取ったり、APが切れるまで連続行動することができる。
さて、ダンジョンパート・イクサパートと分けて説明したが、本作の妙はパートが分かれている割にキャラクターによってゲームが地続きでつながっていることにあるように思う。
というのも、大局・局所を使い分けるゲームはどうしてもゲーム性が分断されがちということが往々にして起こる。
ゲーム性が変わるということは設定されるパラメータが異なるからだ。キャラクターは同じでも、それぞれに専用のパラメータがある、ということもままある。
また、必要とされるユニット数も異なり、SLG系では数10個単位で必要だが、RPGパートでは4~5人で十分、ということも難しさに影響していると思われる。
戦国ランスなんかはパラメータの数を絞り、RPGパートでもユニットの入れ替えを行うことを前提に設定することによって乗り越えていたように思う。
本作ではどうかというと、どうもダンジョンパートの戦闘がRPGパートの戦闘を簡略化したオート戦闘をやっている、という形でつながっているようだ。
このため、イクサパートでのパーティ編成や戦闘ノウハウを間接的に生かすことができる。イクサパートで嫌な編成に会ったら、似た編成を組んでやればよいのだ。
また、ダンジョンに配置できるキャラクターは、イクサパートでパーティに編成することもできる。このため、多数の味方がいすぎて埋没しがち、という点についてもフォローされているように思う。
枯れた技術の水平思考、という言葉があるが、本作は枯れたジャンルをうまくマッシュアップさせているように感じる。
良いところと物足りないところ
本作の良いところを挙げると、あとらそふと 独特のタッチで描かれるキャラグラフィック、そして絶妙な雰囲気だ。
こういう淡いタッチの絵柄はなかなか見ないもので、グラフィックだけで結構いけてしまう。
雰囲気については、世界観ではなく会話のテンポとかそういう方面である。むしろ世界観は結構ガバガバな感じなのだが、こうグラフィックと相まってファンタジーファンタジーしている感を強く感じさせる。
それっぽい雰囲気をそれとなく感じたい、という人に大変お勧めである。
反面、ゲーム部分についてはいくつか難がある。致命的というよりは、長くやり込む類のゲーム性に感じない、という感じで。
- RPGの戦闘パートのバランスがかなり極端。具体的には、最終的に火力が主人公の「魔王軍総攻撃」一択になる。極端に強い
- フレーバーとして、ダンジョンパートとの連動として、自軍キャラの総レベル依存攻撃という設定なのだが、折角のパーティ戦で出しゃばり過ぎているようにも思う
- 単純に敵キャラが固く設定されすぎているように感じた。多分、総攻撃が先に設定されて、そこからバランスを取ったのだと思われる
- やり込み要素というか、複数エンディングがある割に、2周目以降から目指す要素が非常に少ない。よく言えば1周でストーリー要素は網羅できると言える
- とはいえ、段階的に難易度が向上していって、異なるエンディングに到達できる、といった要素が欲しく感じる
- 単純に周回ゲーとしては、微妙にワンプレイが長いのも、そう感じるのを助長している
- アイテム数がむやみやたらに多い。やってやれないことはないが、合成などの際に探すのがかなり面倒。ダンジョンパート・イクサパートとあって、ちょっと無理矢理感を感じる。似た効能のアイテムが大半のため、サブクエストの達成基準のために水増しされてしまったのか
まとめ
佳作
可もなく不可もなく、というところ。
システム回りは、膨大なアイテム回りを除いて不満もなく老舗の貫禄を感じる。
全体的にあっさり塩味なので、重厚なシナリオをやりたいとかそういう人には向かない。
あとらそふとの作品全般に通じるところだが、1周クリアして達成感に浸るというよりは、同じ雰囲気でダラダラと違うキャラを使ったりして楽しむ、というのに向いているように思う。
ただ、ダンジョン運営ゲームとしては、自分のプレイスタイルに問題があるのだと思うが、ダンジョン運営ゲームとしては自動加入するキャラ(シナリオ進行で加入)が多すぎて、自前の軍団を作っている感じがちょっと足りない気がした。
ユニットロストもないから、一度編成が固まると弄る必要性が全く出てこなくてアクセントに乏しいような。
カジュアルなのだが、ダンジョン運営物としては一歩引いてる感じがするなぁ。