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己のゲーム遍歴 あるいは 感情のパンくず

「ロックマン ゼロ & ゼクス ダブルヒーローコレクション」レビュー part6

明けましておめでとうございます。

sitaranaです。

新年最初のゲームは「ロックマン ゼロ & ゼクス ダブルヒーローコレクション」の最後、「ロックマンZXA(ゼクスアドベント)」です。

正直2Dアクションは苦手目だったので、ここまでプレイするとは思わなんだ。

きっちりやり通したのは洞窟物語以来か。

 

プラットフォームはSteam。
難易度はエクスパート(ノーマル)、マニア(ハード) / グレイ、アッシュをそれぞれ1周ずつで計2周クリア。アシストセーブ無し。
プレイ時間は、それぞれ約10時間と15時間くらいで合計25時間強。
よろしくお願いします。

 

より多彩になった変身能力

ロックマンと言ったらボス撃破で能力拡張。

前作から引き続き、本作でもボス撃破で新フォームが拡張される仕様になっている。

なっているのだけど、本作はどうしてそこまでしたと最後に思うくらい変身形態が豊富である。

なんと、その数15形態*1

 

8ボスそれぞれの姿+前作のライブメタル変身フォーム+基本形態、とかなりてんこ盛りである。

更に驚くことに、これらのフォームはそれぞれ固有の能力がある。

流石にこれだけの数となると、完全にギミック向けになっている形態もちょろちょろあるが、ボスなんかは上の画像にあるように、本当にボスの姿に変身できてしまう。

これはこれで嬉しいし、15種もの特殊能力を切り替えてマップを攻略していくのは賑やかで楽しい。

固有のギミックを解除するためのものから、比較的汎用性の高いものまでまぎれているので、ある程度の好みで使い分けられる部分があるのも良い。

 

ここまでは良い話。

反面、15種もの能力を切り替えながら攻略していくことになるので、思ったよりテンポが悪い。単純に切り替えの手間もあるし、前作と同様にリング式メニューで選択するのでぐるぐる回すのが七面倒臭い。

元々は第二画面でタッチして選択するのがメインだったのかもしれないが、どちらにしろ戦闘中にそちらをポイポイ触るのは難しいだろうからどちらにしろリングメニューは使うことになるだろうし、やっぱり面倒な部分だったのではないかと思う。

また、概ね8ボスの形態が戦闘で使うとなると難易度が高くなりがち、というところもポイント。

なんせボスの等身までコピーしてる上に、プレイヤー側特有の接触ダメージ判定まで残っているものだから、単純にロックマンよりでかいというだけで、ロックマン式アクションとしてはデメリットの塊である。

そのうえ、概ね8ボスは操作性の癖が強い、というのも拍車をかけている。ギミック解除用にジャンプだの壁蹴りだのダッシュといった基本アクションの性質が変質している or 使用できなくなっているため、どうしても使い込まないと慣れないし、場合によっては相性以前の問題になりがちである。

せめて、はしごの昇降と壁蹴りくらいはデフォにしてくれてたらマシだったのだろうけど人型じゃない形態の方が多いから、難しいのだろうなぁと思う。

 

良いこと、悪いこと双方の面が見えてくる新システムだった。

 

多分新規向けと思わしき努力の痕跡

ゼロシリーズ(ゼクスを含む)を通してプレイしてきて感じたのは、”ロックマンとして難しい内容を求めている人向け”というバランスだった。

大体最初から難しいし、システム的にも単に緩くする方向だけに働かないようなものばかり実装されていたように思う。

そういう観点から見ると、本作は初めての人にも優しくしようとしているように感じる。

 

具体的には、2点。

1つ目は、序盤・中盤・終盤と難易度のカーブが分かりやすくついていること。

当たり前じゃないかと言われるかもしれないが、ロックマンゼロから通してきた自分からするととても意外だった。

どいつもこいつもOPくらいしかぬるい場所はなく、基本的にはどこも別の難しさがあるだけで、どこだって難しい。初めからスロットル入ってる。くらいがデフォだったのだ。

それがどうも序盤のボスはあからさまに攻撃頻度が低かったりしている(ように感じた)。ラストのボスラッシュで恒例の再戦をするわけだが、どうにもこちらの方が攻撃頻度が上がっている(気がする)。

動画比較とかしたわけではないので正しいかどうかは分からないが、少なくとも体感では序盤は”あれ?思ったより難しくないな?”と思ったのは間違いない。

2つ目は、「ワープポータル」の追加だ。

↑マニア序盤では良い残機稼ぎ場所がないので大変お世話になった

 

標識みたいなのが「ワープポータル」である。

これが何かというと、なんとステージのつなぎ目にほいほい配置されていて、開放するとチェックポイントからジャンプしてくることができる。

おつかいミッションで各ステージへ行ったり来たりすることになるのでそのためかと思いきや、なんとステージ未攻略でもジャンプできる

中ボス・ステージボスの直前にも当然配置されているので、ステージを通しで攻略しなくてもリトライできる

ステージから通しでプレイしなきゃいけない実績などもないので、正真正銘の”難易度緩和装置”である。

・・・ただこちら、チェックポイントからの一方通行であることは記載しておく必要がある。つまり、ポータルを開放してリトライのために使おうと思ったら、自力でステージを逆走する必要がある。

この仕様は本当に謎である。

前作のおつかいミッション用にとってつけたのならば分かるが、この装置は明確に難易度の緩和を目的に導入されている節がある。

何故ならば、プレイ開始時に選択する難易度を上げると、このポータルの開放に必要なリソースの額が上昇するからだ。

そういう意味で追加したのならば、チェックポイントと相互通行できた方が便利で親切であり、何というかすごい中途半端さを感じる仕様なのだった。

このせいで結局ステージの最後まで駆け抜けないと戻ってこれないし、なんだかなぁという感じである。

まあ、ポータルから戻れてしまうと残機制の意味が限りなく薄くなってしまうので、そこら辺のバランス調整とが上手くいかなかったのではないかと邪推する次第。

 

いつもの2作目で改善されること

大きなシステム変更は変身システムで、他は前作から引き継ぎ、改善したものがほとんどである。

いつもの通り、始めはぼちぼち、2作目でシステムの粗を潰していくスタイル。

  • ミッションは数の制限なく受注できるように。クエストボード形式
  • マップに固有名がちゃんとついた他、マップ同士のつながりが第二画面に表示されるように
    • ただ、前作のような網の目状につながっている、という構成ではなくなった。基本的に拠点から放射状に展開されている形。つまりスター形であり、ほぼほぼ自分で足を運ぶだけのステージ方式と変わらなくなった(多分、こういうのはメトロイドヴァニアとは呼ばないだろう)
  • 各フォームの能力をメニュー画面から確認できるようになったと同時に、ボス撃破後のチュートリアルまで備えるようになった。もうwikiを見ないと分からないなんてことはない
  • 有料でサブタンクの補給ができるようになった。結構便利

 

また、前作から引き続きダブル主人公制なのだが、主人公ごとの差別化も前作より強調されている。

可視化された能力の差(微々たるものだが)に加え、基本形態であるモデルAのチャージショットの特性が異なり、OPステージも異なる、と前作よりも2周やった場合のマンネリを感じづらくなったのは純粋に喜ばしい点である。

↑どちらかというとグレイの方がスタンダード寄り。アッシュのチャージは実質反射するリフレクトレーザである

 

まとめ

良作です。

新要素は面白いものが多く、システムも着実に洗練されている。

ただ、どうにも中途半端さを感じる要素が多い、という感触もありました。

本作で打ち切りになってしまったあたり、新規層の取り込みを目指そうとして失敗したのだろうかと思われます。

なにごともそうですが、中途半端が一番良くない。どちらにも顔を立てない調整はあまりよろしくないのでは、と。

 

なお、個人的に最もよろしくないと思ったのはセイバーが初期装備から外れたことです。*2

いつ手に入るかというと、なんと中盤。

ゼロの系譜としては避けては通れないシンボルと思っていたので、”マジかよ・・・”と心の中で呟いていました。

モデルH・Lの近接攻撃形態と被りが出るあたりとの兼ね合いだとは思うのですが、外して欲しくなかったなぁ。

 

蛇足ですが、なんでエールだけ変身バンクが長いんです?

 

コレクションのまとめ

収録作全部クリアしたので、コレクションとしてのまとめを。

感想としては、大変満足

総評としては、お買い得 & 高カロリー

 

GBA / DSの作品だから勿論古臭さはあるんだけど、操作性はバリッバリに快適。

通しでプレイするなら徐々に上達するから、作品を追うごとに上達も感じられていい感じ。

ちょっと自信がなくてもアシストセーブとかあるから、心が折れなければ大丈夫な親切仕様。

音楽も聞き心地が良く、タイトル画面の曲鳴らし続けて環境音にしてもいいかな、と思うくらい。エレクトリックな感じが耳に心地よい。

これがなんと、6作品入って1,300円くらいで買えちゃうんですよ。*3

Zチェイサーはやってないですが、収録作を通しでプレイするだけでも満足度は高いです。

 

また、高難易度アクションゲームの変遷を感じられたのもグッド。

ダクソでは3あたりで大分気にしだしているけれども、”難易度が高い場所へのアクセス性が悪い”というところに最終的(ZXA)にはテコ入れし始めており、コレクションではアシストセーブ機能が実装されていたりするあたり。

ロックマンシリーズの伝統構成だと、どうしても”特定の難所を集中的に練習するのが難しい”というジレンマが発生しますが、これの解答を探している途中だったのかなと思います。

GBA時代なんかはコンテンツ量の問題もあり、”簡単にクリアさせない”ことでプレイ時間を稼ぐ意図もあったのではないかと思いますが、昨今は”コンテンツ量で殴る”スタイルに移行している感があるなぁ、と。

 

あっさり終わると思ってたら、いつの間にかプレイ時間80時間オーバーになっていたあたり、ハマる人はハマれる良い作品だと思います。

舌に合わなくてもお値段も安いですし、気軽に積んどくのも悪くないんじゃないかと。

ではでは、お疲れさまでした。

 

 

*1:隠しフォームを含めると更に+1

*2:正確には基本形態で所持していない。Z1・ZXでも最初から使えたわけではない。にしても本作は使えるようになるタイミングが遅い

*3:Steam, 2023WinterSale